看護師さんにとって、切っても切り離せない問題の「腰痛」。
腰痛を抱えながら、日々業務をこなしている看護師さんは多いはず。
私の職場でも、半分以上はコルセット愛用者よ。
看護師や介護士にとって、腰痛は職業病だよね。
どんなに気をつけていても、腰への負担は大きいのは間違いないわ。
特に、移乗介助や入浴介助がある高齢者介護施設などは、比較的腰痛の発生が多い職場ですよね。
看護職の5~7割が腰痛を抱えているというデータもあります。
腰痛をきっかけに、離職を考える看護師さんもいるのではないでしょうか。
看護現場にとって、腰痛は深刻な問題です。
そこで、今回は腰痛持ちの看護師さんでも、働きやすい職場をご紹介します。
看護する立場だからこそ、ご自身の身体も大切にしながら働きたいですよね。
腰痛のせいで看護師を辞めてしまうのは、もったいない!
この記事が、あなたの職場選びの役に立つことができたら幸いです。
*本記事は広告を含みます。
なぜ看護師は腰痛もちが多いの?
看護師さんの仕事内容は、腰痛を誘発しやすい業務がたくさんあります。
・立ち仕事が多い
・中腰で行う業務
・不規則な生活リズム
・ストレスを感じやすい
ベッドで臥床している患者様のおむつ交換や医療処置、移乗介助など、中腰の姿勢になる場面が多いですよね。
そもそも看護師業務は、肉体労働ですから、腰への負担から腰痛につながります。
さらに、夜勤など不規則な勤務体制により、十分に身体を休めることができず、身体や筋肉の疲労が回復できずに蓄積してしまうことで、腰痛を引き起こしてしまいます。
このような過酷な勤務から、ストレスを抱えている看護師さんは多いでしょう。
厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」では、腰痛発生要因について以下のように記載されています。
①動作要因 重量物の取り扱い・人力による人の抱え上げ作業・拘束姿勢・不自然な姿勢・急激又は不用意な動作
②環境要因 振動・温度等・床面の状態・照明・作業空間、設備の配置・勤務条件等
③個人的要因 年齢及び性・体格・筋力等・既往症及び基礎疾患
④心理・社会的要因
厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針及び解説」参照
腰痛の発生件数の増加により2013年に改訂された指針では、新たに「心理・社会的要因」が追加されました。
これは、「仕事への満足度が低きがいが得にくい」「上司や同僚からの支援不足」「職場での対人トラブル」「仕事上の相手先や対人サービスでの対象者とのトラブル等」などが挙げられています。
つまり、ストレスを感じやすい職場環境は、腰痛の発生も高いということが言えます。
心因的な負担が原因となって、腰痛が発症し長年つらい思いをしている方は、看護師として働くことさえ不安に感じてしまいますよね。
これだけはやって!看護師の腰痛予防方法
腰部の負担を軽減するために、今すぐできる腰痛対策をご紹介します。
ボディメカニクスを使った作業
【ボディメカニクス】
人間が動作するときに骨や筋肉、関節が相互にどのように作用するかといった力学的関係を活用したもの
自身と患者・介護者の負担軽減のために、ボディメカニクスは欠かせません。
もちろん腰痛予防のためにも効果的です。
力任せにせず、最小限の力で行うことができますので、ぜひ身につけておきたいですよね。
ボディメカニクスの基本原理
1⃣ 支持基底面積を広くする
2⃣ 重心の位置を低くする
3⃣ 重心の移動をスムーズにする
4⃣ 重心を近づける
5⃣ てこの原理を使う
6⃣ 身体を小さくまとめる
7⃣ 大きな筋群を使う
8⃣ 押さずに手前に引く
長く同じ姿勢をとらない
前屈・中腰などの不自然な同一姿勢は、腰に大きな負担がかかってしまいます。
長時間身体を動かさないでいると身体の緊張が強まるので、こまめに体制をかえたり、時々ストレッチをしたりすると良いです。
どうしても不自然な姿勢をとらなければならない時は、膝を着いた姿勢や壁に手を着くなどの姿勢で身体を支えるといいですね。
コルセットの使用
すでにもう腰に痛みがあるという方は、コルセットを使用することで、腹圧を高め腰回りを固定し、腰部の負担を軽減することができます。
腰回りがサポートされ体幹が安定すると、痛みの緩和が期待できますね。
ただし、コルセットといっても、素材・幅・伸縮性・吸湿性・硬性・軟性など、種類はさまざまです。
また、1日中コルセットをつけていれば腰痛が軽減するというわけではありません。
長時間の使用は、筋力低下や骨盤の動きが悪くなってしまいます。
必要に応じ医師に相談し、自分の症状にあったコルセットを、必要な時に使用することが大事です。
滑りにくく、足に適合した靴を選ぶ
立ち仕事は、疲れにくい靴を選ぶことがポイントです。
滑りやすい靴は、足や腰に負荷をかけてしまいます。
サイズが合っていなかったり、底が薄い、硬すぎる靴は避けた方が良いでしょう。
おすすめは、コンフォートシューズです。
履き心地を重視し、機能性に優れていますので、長時間の立ち仕事に向いています。
足をしっかり固定することが腰痛にも効果的なので、ナースシューズ選びも重要ですね。
無理はしない
腰部に負担がかかる業務は、無理に1人で行わず複数で行うようにしましょう。
とは言っても、人員配置などで1人で行わならなければならない状況がでてきてしまうことも。
このような職場環境ですと、腰痛持ちの方は常に無理をしなければなりません。
腰に負担がかかる職場は、将来的なことを考えて1度見直してみることも検討してみてください。
腰痛に悩む看護師におすすめの転職先は?
すでに腰痛で悩んでいる看護師さんの中には、これ以上仕事を続けることは難しいと、看護職の継続を諦めているかもしれません。
しかし、看護の仕事内容は多岐にわたります。
仕事内容を選べば、ご自身の体調と付き合いながら働き続けることができますよ。
ここでは、腰痛持ちの看護師さんが働きやすい職場をお伝えします。
外来
眼科や耳鼻科・皮膚科外来は、座っての業務がありますので、1日中立ち仕事ではないため、腰痛やヘルニア持ちの看護師さんにおすすめです。
また、病棟を持たない小さなクリニックは、移動距離が少ないことと、夜勤がなく残業が少ないので、腰への負担が少なく働くことができるでしょう。
ただし、総合病院の外来はおすすめできません。
広い院内は、歩かなければいけない機械も多く、介助量の多い患者さんもいるため、腰痛やヘルニアが悪化してしまうリスクがあります。
産業看護師
産業看護師も腰痛やヘルニア持ちの看護師さんに向いています。
企業で働く産業看護師の業務内容は、社員の健康管理がメインです。
健康相談や健康に関する集団指導をしたり、社員のメンタルヘルスケアとしも活躍しています。
基本的には座って仕事をするデスクワークが多いため、腰痛と付き合いながら働ける仕事内容ですね。
治験コーディネーター
治験コーディネーターは、薬治験を行う医療機関で進行をサポートする仕事です。
具体的には、治験が円滑に行われるように、被験者への説明の補助や相談、投薬スケジュール管理、治験医師とのやり取りやデータ管理などを行います。
ほとんどが座って行う業務のため、無理なく働くことができるでしょう。
そのため治験コーディネーターは、腰痛やヘルニア持ちの看護師さんが働きやすい仕事です。
デイサービス
介護施設は、利用者の介助が中心となるため、腰痛がある看護師さんには向いていない職場ですよね。
ただし、介護施設への転職先を検討している方は、移乗・入浴介助がないデイサービスは、腰への負担が少なくおすすめです。
デイサービスは、機能訓練に特化した事業所や認知症対応型の事業所、大規模や小規模などそれぞれ特徴があります。
デイサービスの看護師の業務内容は、利用者の健康管理・薬の管理・処置や機能訓練補助などです。
しかし、事業所によっては、介護度の高い方が利用していたり、入浴介助のサポートが必要な場合があります。
移乗・入浴介助の有無は求人情報でチェックするか、看護師転職サイトのサポートを利用し情報収集してからの転職をおすすめします。
透析看護師
透析看護師の主な仕事内容は、透析の準備・穿刺などの医療行為・透析中の体調管理・患者の健康指導ですので、力仕事は少なく、腰痛やヘルニア持ちの看護師さんが働きやすい職場です。
腰への負担が少ない業務内容ですが、患者層によってはベッドから車いすへの移乗介助が必要な場合もあります。
また、穿刺時の姿勢がつらいと感じる方もいるでしょう。
患者層や業務内容・介助量については、実際に働いている方の話を参考にして転職活動をしたいですよね。
透析看護師を検討している方は、看護師転職サイトを利用して実際の現場の話を聞いてみると良いでしょう。
まとめ
多くの腰痛・ヘルニア持ちの看護師さんは、看護師という責任感から無理をして働き続けてしまう傾向にあります。
この記事の前半では、看護師さんの腰痛発生要因について述べましたが、腰痛の原因は複数存在していることが多く、単独の予防方法だけでは難しいのが現状です。
したがって、腰痛・ヘルニア持ちの看護師さんは、ご自身の症状とうまく付き合い無理をしないことが大切です。
今の職場で、腰への負担を感じている方は、働きやすい職場に転職することを視野にいれてみてはどうでしょうか。
転職することで、将来的に看護師として長く続けることができるかもしれません。
現在、看護師転職サイトが豊富にあり、手厚いサポートを受けながら転職活動をすることができます。
登録は無料ですので、一度相談してみてください。